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スプレードライ(噴霧乾燥)とは?基礎知識から仕組み、活用例まで徹底解説

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1. スプレードライとは

スプレードライ(噴霧乾燥)とは、溶液、スラリーなどの液体原料を微粒化装置により微細な液滴とし、乾燥用の熱風と効率よく接触させることで、短時間に粉体製品を製造する方法である。原料に対する熱の影響が少ない乾燥方法と言われており、セラミックスの造粒用途や食品、化成品、医薬品などの製造に広く利用されている。

噴霧乾燥装置の構成としては、大きく以下の4つの部分に分けることができる(図1)。

① 熱風発生部

液滴の乾燥のために用いる熱風を供給する部分であり、身近な物で例えるとヘアドライヤーである。工業的には主な加熱源として電気ヒーターやバーナーが使用される。

② 微粒化部

供給された原料液を微粒化させるための、噴霧乾燥装置の中心部とも言える部位である。身近な物では衣類の消臭剤に用いられるスプレー(霧吹き)や、市街地などで熱中症対策として運転されているミスト噴霧装置などが該当する。

③ 乾燥部

微細な液滴と熱風とを効率よく接触させるための部位であり、例えばドラム缶のような円筒形の容器で、液滴を乾燥させるための十分な空間が必要となる。

④ 粉体回収部

粉体製品を回収する部位であり、身近な物では掃除機が当てはまる。

以上が主な噴霧乾燥装置の構造であり、安定した粉体製造には各構成部位の能力を十分に発揮する必要がある。

図1:噴霧乾燥装置(スプレードライ)の仕組みを身近な家電等で模したイメージ図。ドラム缶を本体とし、ドライヤーで熱風を送り、霧吹きで液滴を噴霧し、掃除機で下部から空気を吸引する様子を描いている。

2. スプレードライの特徴・可能性

スプレードライ法は原料液を微粒化することで比表面積を大幅に増加させることができ、その結果として短時間の乾燥操作が可能である。噴霧された液滴は乾燥過程において自身の表面張力により球状化して乾燥が進行するため、製品は球形度の高い粒子となる。また、適切な微粒化装置を使用することで、粒子径分布がシャープであり取り扱いの容易な粉体を得ることができる。粉体製品は粒子径分布がシャープであると流動性が良好になるなどメリットが大きい場合が多く、高付加価値の粒子の製造には適切な微粒化装置の使用と、適切な運転条件の選定が必要となる。

粉体製品の要求仕様が高度化かつ細分化された現在において、噴霧乾燥装置には以下の項目が求められている。

  • シャープな粒子径分布
  • 機能性粒子・高付加価値粒子の製造
  • 微粒子化(微粒子の大量製造)

従来、噴霧乾燥は一例として粉末洗剤製造に代表されるように乾燥効率が重視されてきたが、現在ではマイクロカプセルに代表されるような機能性粒子の製造や、造粒体としての顆粒内部の構成成分である一次粒子の均等分散、さらに各顆粒間における含有成分割合の均一性など、付加価値の高い粒子の製造へと噴霧乾燥装置における設計・開発のポイントがシフトしている。

3. スプレードライの流れ

噴霧乾燥装置(スプレードライ)の大きな流れを以下に示す。

  • 原液の供給
  • 原液の微粒化
  • 液滴と熱風の接触
  • 蒸発・乾燥
  • 乾燥排ガスとの分離
  • 製品粉体の回収

噴霧乾燥装置はこれらの一連の操作により、乾燥、粉砕、分級などの複数の工程を簡略化して一つのプロセスで最終製品が製造可能であり、大量生産にも対応できる点が特徴となっている。

3-1. 液体の微粒化

噴霧乾燥プロセスは液体原料を微細な液滴とし、表面積を増加させることで乾燥効率を高めている。微粒化装置には多くの種類があり、原料液の種類や乾燥の目的・用途によって最適形状の機器を選択する必要がある。

微粒化プロセスは複雑な工程であり、塊状の液体を直接的に細かい液滴とすることはできず、液体を微粒化するには一度液膜の状態、または液柱の状態にする必要がある。この形成された液膜または液柱を変化させて液滴の状態とすることが微粒化プロセスである。このため、微粒化をさらに進行させたい場合や、粒子径分布のシャープな粒子を得るには、いかに均等な液膜を形成させるか、あるいはいかに均等な液柱を形成させるかという点が重要となる。

なお、噴霧乾燥装置に使用される微粒化機器として、一般的に液膜を形成させるタイプは回転ディスクや圧力ノズル(加圧ノズルまたは一流体ノズル)が該当し、液柱を形成させるタイプとしては二流体ノズルが挙げられる。各微粒化機器では液膜や液柱の形成プロセスが異なるため、微粒化能力に優れるものや、粒子径分布のシャープな製品が得られるなど、それぞれ異なる特長を有する。

3-2. 乾燥について

噴霧乾燥における乾燥工程は、大きく「恒(定)率乾燥期間」と「減率乾燥期間」の2つに分けられる(図2)。恒率乾燥期間では、液滴が噴霧された直後における乾燥状態となり、液滴は高温の熱風と接触して粒子表面から乾燥が進行する。このとき、熱風からの対流伝熱を受けて水分が蒸発するが、同時に蒸発潜熱により粒子自身が冷却される効果が作用する。このため、対流伝熱により加熱されながら、同時に蒸発潜熱による冷却効果が働き、粒子全体の温度はある一定の温度までしか上昇しない。この温度が湿球温度である。

さらに乾燥プロセスが進行し、粒子内部の水分が減少すると、蒸発潜熱による冷却効果が弱くなるため、粒子温度は徐々に上昇しながら乾燥する。これが減率乾燥期間における乾燥状態である。

なお、乾燥室の設計指針の一つとして、噴霧された液滴が壁面に到達するまでの間に、粒子外殻の形成が終了していることが要求される。したがって粗大粒子を乾燥させるには長い飛翔距離を要するため、大きい乾燥室が必要となり、微粒化装置においても噴霧液滴(粒子)径分布がシャープであることが重要である。噴霧乾燥装置では前述の点に留意して乾燥室径が決定されており、効率のみを重視した乾燥装置と比較すると非常に大型となるが、単に水分を蒸発させる目的で設計された装置とは設計思想が異なるため、単純に優劣を決定することはできない。このように液滴を短時間で乾燥させるためには、十分な空間・容積が必要となり、乾燥用熱風は蒸発を促進するために均等な分散と、液滴との均一な接触が重要となる。乾燥工程はエネルギーを多く消費する部位となるので発熱効率が高く環境負荷の小さいエネルギーの使用が求められ、液滴に対する熱風の速度や角度、乾燥室内への広がりも装置を設計する際には重要な要素となる。

図2:恒(定)率乾燥と減率乾燥の解説図。スプレードライにおける液滴の乾燥プロセスを2段階で説明。表面の水分が蒸発する恒率乾燥(品温は湿球温度を維持)と、内部の水分が移動する減率乾燥(品温が上昇)の特徴を示している。

3-3. 粉体の回収

噴霧乾燥装置における粉粒体回収機器としては、サイクロンまたはバグフィルターが用いられる。一般的にはサイクロンが多く使用され、構造が比較的単純で洗浄も容易であり、粉体を含む気体からの分離効率も高い。一方、さらに微細な粒子を対象とする場合には、粉体回収装置としてバグフィルターが使用される。バグフィルター内部には、処理ガス量に応じて複数の円筒形のろ布が設置されることが多く、ろ布表面積を確保するために、ひだ状に折られたプリーツ状のろ布が使用される場合もある。

また、噴霧乾燥装置における粉体回収位置は、大きく「サイクロン回収」と「本体下回収」の2つに分けられる。噴霧乾燥操作においてサイクロンで粉体を回収する場合には、本体の形状にもよるが一般的な円筒形の乾燥室は円錐状の下部より粉体を熱風に搬送させてサイクロンで回収する方式が多い。この方式は主に有機物の乾燥製品に用いられる。

一方、乾燥操作が造粒を主用途とする場合には、サイクロンで製品を回収すると内部の旋回流によって造粒体が破壊されたり、摩耗したりすることがある。そのため、乾燥室の本体下部に回収容器を設置し、円錐部を滑り落ちた粉体をそのまま受け止めて回収する方法が採用される。この場合は、サイクロンは微粉の回収が主な用途となる。

4. スプレードライの活用例

スプレードライ(噴霧乾燥)の活用は、大きく「乾燥」と「造粒」の2つに分けられる。この2つは完全に切り分けられない場合が多いが、用途としては主として乾燥を目的とする場合、あるいは造粒を目的とする場合に分類される。

乾燥用途においては、主な目的は水分の蒸発であり、食品などをはじめとする有機物の乾燥が対象となる。この場合、「製品への熱の影響を最小限に留める」という特長や「短時間操作」という噴霧乾燥プロセスの特性が生かされている。噴霧乾燥プロセスは熱の影響を受けにくい乾燥方法とされており、耐熱温度の低いビタミン類やタンパク質などの乾燥にも有利である。この場合、粒子の球形度よりも粒子径や粒子径分布が重要となることが多く、製品のハンドリング性向上の観点から、粉体の流動性は重要な指標となる。

一方、造粒を主目的とする場合では、噴霧乾燥製品は液滴が噴霧された過程において、液滴自身の表面張力により球形を保ったまま乾燥されるために球形度の高い粒子が得られる。球形度の高い粒子は、セラミックス分野などにおいて乾式プレス工程に使用する原材料として好適である。このような粒子は産業プロセスにおける利用価値が高いために広く用いられており、造粒主体の用途では電子部品材料分野での利用が多く、コンデンサ用材料として用いられるほか、磁石材料に用いられるフェライトやタングステンカーバイドの造粒にも使用されている。

5. まとめ

噴霧乾燥装置は、熱の影響を低く抑えて乾燥可能な方法と言われており、セラミックス類の造粒や、食品に代表されるような有機物の乾燥などに広く利用されている。製品製造条件の選定においても、最終製品に与える影響が大きく、温度や風量、原料液の供給速度などのパラメータは有機的につながっているため、基準を満たした製品とするために適切な運転管理が必要となる。

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