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液体の微粒化とは

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液体の微粒化とは、液体を小さなしずく(液滴)にして気体中に放出する技術のことです。

液体を気体にする「気化」とは異なり、液体の状態を保ったまま微細な粒子にすることが特徴です。食品、医薬品、化粧品、化学品など、さまざまな分野で製品の品質向上や新しい機能の実現に貢献しています。ここでは、液体の微粒化の概要、用途・目的、活用分野、微粒化の方法、そして微粒化装置についてご紹介します。

液体の微粒化とは

液体の微粒化とは、液体を微細な粒子(液滴)にする操作を指します。微粒化された液滴のサイズは、用途によって大きく異なり、7~8ミリ程度のものからナノ・マイクロレベルのものまで幅広く存在します。この技術は、物質の表面積を増大させたり、均一性を高めたりすることで、さまざまな効果を発揮します。微粒化は、単に液体を細かくするだけでなく、その後の工程や製品の品質に大きく影響を与える重要な技術です。

液体微粒化の用途・目的

液体を微粒化する主な用途と目的は多岐にわたります。

液体の乳化

通常混ざり合わない水分と油分を、微粒化技術によって微細な粒子レベルで分散させ、安定した状態にするのが乳化です。食品分野では、口当たりのなめらかなさを実現するために利用され、化学分野では、インク原料の均一化などに役立っています。

液体の均一化

複数の液体成分を均一に混合したり、固体成分を液体中に均一に分散させたりする目的にも微粒化技術が用いられます。これにより、製品の品質安定化や性能向上が期待できます。

液体の粉末化

液体原料を微粒化した後、乾燥させることで粉末状の製品を得ることも重要な用途の一つです。例えば、インスタントコーヒーは、コーヒー液を微粒化し乾燥させることで製造されます。スプレードライヤは、液体を細かい霧状に噴霧し、熱風と効率よく接触させることで水分を蒸発させ、短時間で粉末製品を得る装置です。牛乳から粉ミルク、コーヒーからインスタントコーヒーなど、さまざまな液体を粉末にすることが可能です。

液体微粒化の活用分野

液体の微粒化技術は、多種多様な産業分野で活用されています。私たちの身近な製品から、高度な産業技術まで、幅広く貢献しています。

食品分野

ミルク、コーヒー、醤油、味噌、卵などの食品の製造に利用されています。具体的には、アミノ酸系調味料、糖類、イースト菌、乳酸菌、酵素、香料、粉末油脂、粉乳、食品添加物、健康食品、飼料などの粉末化にスプレードライヤが用いられています。

医薬品分野

漢方薬、農薬、無機薬品、酵素、抗生物質、ビタミン剤などの粉末薬剤や、有効成分の製造に微粒化技術が応用されています。治療薬の吸収率を高めるためにも、薬品を微粒化する技術が不可欠です。

セラミックス分野

携帯電話や電子ゲーム、コンピューターに使われている電子セラミックスの原料となるアルミナ、ジルコニア、酸化チタン、タングステンカーバイドなどの微粉末製造にスプレードライヤが活用されています。

化成品分野

洗剤やその成分、化粧品原料となる酸化亜鉛・酸化チタン、EV電池材料、有機触媒、界面活性剤、顔料、染料など、多岐にわたる化学製品の製造に微粒化技術が用いられています。

廃液処理

醸造廃液、スターチ廃液、酵素廃液などの産業排水を微粒化・乾燥させることで、固形物を回収し、廃棄物量の削減や資源の再利用に貢献しています。

液体を微粒化する方法

液体を微粒化する方法はいくつか存在しますが、液体を粉末化する目的で広く用いられているのが噴霧乾燥(スプレードライ)です。この技術では、微粒化装置を用いて液体原料を微細な液滴に噴霧し、熱風と接触させることで瞬時に水分を蒸発させ、粉末を得ます。

微粒化装置の仕組み

微粒化装置は、それぞれの方式に応じて異なる構造と原理を持っていますが、ここでは、液体を粉末化するために使用するスプレードライヤの微粒化原理を紹介します。

スプレードライヤの微粒化装置には、大きく分けて回転円盤方式(ディスク方式)とノズル方式があります。

ディスク式とノズル式の違い

ディスク式は、高速回転する円盤の遠心力によって液体を微粒化し、円盤の円周上から噴霧します。ディスク式は比較的小さい粒子を少量から中量生産するのに向いており、回転数を調整することで粒子径を制御しやすいため、多品種生産にも適しています。

ノズル式は、一般的に加圧ノズルと2流体ノズルに大別されます。加圧ノズルは液体に圧力を加え、霧吹きのようにノズル先端から噴射することで微粒化します。加圧ノズル式は比較的大きな粒子(約80μm以上)を大量に生産するのに適しています。2流体ノズルは加圧した空気のせん断により微粒化を行い、比較的小さな粒子(5μm~)を生産可能です。

大川原化工機の微粒化装置の特長

大川原化工機は、長年の経験と独自の技術により、高性能な微粒化装置を提供しています。

Mディスク

Mディスクは、独自の曲面形状により、ピンの高さ方向に均一な液層を形成し、全体から均一に噴霧されます。これにより、他のディスクタイプと比較して、均一な大きさの液滴径が得られます。乾燥後の粉体も均一となる為、粒度分布がシャープになります。その結果、粉体の流動性が向上し、乾燥室内への付着が減少し、歩留まりの増加にも貢献します。

ツインジェットノズル

ツインジェットノズル(RJシリーズ、TJシリーズ)は、微粒子(数μm前後)の大量製造に特化したノズルです。特許を取得した2段階噴霧技術により、圧縮空気で液体の表面張力を効率的に破壊し、従来のスプレーノズル式や回転ディスク式では難しかった微細な粒子径範囲を実現しています。少量(1kg/h)から大量(1000kg/h)までの処理量に対応可能です。

液体の微粒化と噴霧乾燥(スプレードライ)のご相談は大川原化工機へ

液体の微粒化技術は、私たちの生活を支えるさまざまな産業分野で、高品質な製品開発や効率的な製造プロセスを支えています。
これらの多様な用途に対応するためには、用途や目的、求められる粉体特性に応じて最適な微粒化方法や装置を選択することが重要です。液体微粒化技術の導入や課題解決には、専門知識と豊富な経験を持つ大川原化工機へご相談ください。

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